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高齢化社会を支えるため、政府や企業も(税制による優遇などを通じて)共働き夫婦を増やそうとしているなかで、「キャリモテ」現象は注目されています。
一雇用形態の流動化を止めることも結婚対策になることは意外に議論されません。
自己責任で行う「婚活」には限界があります。
若者の待遇を向上させる政策をまじめにやることは、少子化対策としても有効なはずです。
DINKSならぬTINKSが増えているわけNKSは弁護士同士、一流企業社員同士のカップルが珍しくありません。
私の周囲にも、若いのに夫婦合わせて年収2000〜3000万円のカップルがたくさんいます。
とはいえ、若い世代の二極化は深刻で、派遣社員やフリーターにしかなれない男女が多い時代です。
昔なら、「エリート社員とOL」という組み合わせが一般的でしたが、今では「エリート社員同士」のカップルのほうが目立つようです。
ただ、旦那を食べさせる力量があるキャリアウーマンでも「上方婚」志向があるため、数は相対的に少なくなっても自分より、「上」の男と結婚しようとする意識が働きます。
確固たる戦略と野心を持って結婚する分、TINKSが増えているのかもしれません。
一握りの豊かな勝ち組の男女が、勝ち組同士で結びつくことが促進されれば、理想を下げられない男女は負け残るため、晩婚化はますます進んでしまいかねません。
一方で、若い世代のフリーター同士が結婚しても、下手をすると「二人で年収300万円」というのが現実です。
もちろん、「幸せはお金では測れない」部分はあり、そうした建前は今でも健全です。
男女が社会や家庭内で分業を強いられなくなったことは素晴らしいことでしょう。
女性にとって結婚が「生まれ変わり」や「人生のデフォルト設定」でなくなったのは、事実専業主婦は3000万円の損?
ただ、女性が家事などを無償労働していた時代は、結婚によって大きな所得格差は生じにくい環境でしたが、双方が相手に同等かそれ以上(上方)の所得や地位を求めるようになると、それまでにない結婚難やカップル所得格差が生じやすくなります。
新たな階層社会の到来を予期させるものかもしれません。
『結婚の条件』(朝日新聞社)の筆者のO倉千加子さんは「結婚とは(女の)顔と(男の)金の交換」といいました。
数年前の話です。
それが今や、男女ともお互いに「顔と財布の交換」を望んでいる時代に変わったのではないでしょうか。
男が会社に依存できなくなり、女も男に依存できなくなる厳しい時代になったことが、従来の結婚の常識を揺さぶっているのです。
男も女も家庭の外に出て、せっせと働き、着実に納税して高齢化社会を支える。
こうした政府や企業側の狙いから、少子化対策の柱としての子育て支援の内容も、既婚者の子供の保育肩代わりが中心とされてきました。
こうした支援策は、実は働く女性や共稼ぎ家庭の負担軽減が狙いで、家にいて自分で子供を育てているような専業主婦には、あまり恩恵が及びません。
家庭内の子育ては、個人的な行為で、支援の対象にはなりにくいと判断されているためでしょう。
つまり、「結婚、専業主婦になる」人生は今では、損な選択肢になっています。
そうした状況を踏まえてドライに分析すると、結婚で双方の新たな人生が始まるのではなく、結婚とは、それまでの相互の人生のバランスシートを統合する「連結決算」のような作業になるのです。
ある意味、ちょっとイヤな時代になるわけです。
例えば、主婦はパート所得への課税が増え、一定のパート所得のある専業主婦は厚生年金にも入らなくてはならない時代がやってきました。
「配偶者特別控除」などの政策も廃止・縮小されました。
専業主婦が掛け金を払わなくてももらえるのは基礎年金で、国民年金と同程度の月々数万円です。
しかも、原則陥歳以上でないともらえません。
もし、専業主婦がフルタイムで働くようになれば子供を保育所に入れられます。
公立の保育所は、月々2〜3万円で子供を預けられますが、実際にかかっているコストは十数万円になります。
つまり、2人の子供を計6年間保育所に入れると、1000万円近い補助金を受けたことと同程度(あるいは1000万円の減税)になるのですが、保育所には働く女性の子供が優先的に入ります。
一方、専業主婦の子供は家で育児が可能なため「待機児童」の扱いを受けやすいようです。
専業主婦は、行政の用意した安い育児設備(保育所など)に子供を預けにくいため、働く機会も失われがちになるという循環が生じます。
共稼ぎの夫婦は、子供を保育所に入れたことで、1000万円?2000万円ぐらいの所得を稼げる計算となります。
一方で、自分で子供を育て、収入のない専業主婦は子供が小学校に入るまでに2000万円?3000万円ぐらい損をすることになります。
経済学では、「機会費用の損失」という考え方がありますが、家で子育てをする専業主婦は、この例だと2000万円ほどの機会損失を被るわけです。
適齢期の女性も、そんなことは重々承知なので、専業主婦になるための結婚はあきらめ、なるべく避けようとします。
また、専業主婦願望が強い女性は男から敬遠されがちですが、経済学的には合理的な選択なのかもしれません。
「お見合いで弱者救済を」と訴え、自ら見合い斡旋を始めたのが、U田樹・神戸女学院大教授です。
日経新聞の紙上でお見合いの復権を唱えたU田氏は、日本社会が直面する確かに2人で生活する結婚は、家賃や光熱費、食費、病気のときの世話など生活のリスクやコストを抑える生活防衛になります。
弱者にとっての生存戦略が結婚である点は、米国では所得の低い若い人が、「自己防衛」として結婚するケースからも認められます。
また、S田裕巳・元日本女子大教授も『女はすべからく結婚すべし」(中公新書)で、結婚難現象は、企業が日本的な家族主義経営を棄て、雇用の流動化によって会社が社員を育てられなくなったしわ寄せだという主張を展開しています。
そうだとすると、昔いたような縁結びの人々、でしゃばりなおじさんやおばさんが復権しなければ未来はないのかもしれません。
社内恋愛や見合いが減って、結婚においても「自己責任」「勝ち組.負け組」という意識が強く働く時代になってきました。
しかし、「そんなものは気にせず、結婚すれば幸せになれる」という古い世代からの主張は正しいのでしょうか。
U田教授は金のない者同士が結婚する「下流婚」は下流の再生産につながるという認識は「杷憂である」と強調しています。
また、「老後は気の合う同性同士で暮らせるのでシングルでも大丈夫」という人の論は、すべてを兼ね備えた強者の女性の発想だそう。ユニークな見解を披露しています。
S田氏は、怖がらずに結婚すれば、少子高齢化社会など大方の問題は解決されてゆく、という立場です。
S田氏によると、非婚化の要因は、「安易に結婚すれば負け組転落」というリスクばかりがマスコミで暗一伝されたためではないか、と推測します。
確かに結婚に過剰な負担感やリスクを想定することは望ましくないかもしれません。
ただし、結婚に対する恐れは、過剰な期待と裏返しの関係にあります。
若者の雇用の不安定化や低所得の問題から、普通の結婚で普通に幸せになるという「常識」の敷居が高くなってしまいました。
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